交通事故診療の実情

10月17日(日)毎日新聞によりますと「交通事故の自由診療報酬は高額 で自賠責保険金の上限(120万円)を圧迫し、被害者の補償 (慰謝料や休業補償)も削られ被害者救済に影響を与えている。」との 掲載記事がみられました。これには事実誤認が多くみられます。 資料を添えて説明します。 1. 交通事故診療については救急医療的要素があり、医療機器の整備やス タッフ配置など医療体制・経費的な面からも配慮され、日本医師会では   日本損害保険協会・自動車保険料率算定会なる三者協議会でのとり決め で健康保険とは切り離し、労災保険に基づいた自由診療として診療に当 っています。 2. 交通事故の自由診療に当っては、日医新基準を採用するかしないかは 独禁法に抵触するという考えもあるのは事実ですが、各県の事情も違う ので決定は各県の医師会に任されております。また県によっては日医新 基準は採用しているが、各医療機関毎に採用を一任する「手あげ方式」 をとり入れているところもあります。故に日医新基準の採用・非採用を 批判することは不適切であります。 3. 日医新基準を採用している医療機関の外来診療では、健保診療の2倍 近くの治療費となる場合もある。日医新基準を採用していない医療機関 では、90%以上が健保基準の2倍の医療費であるので、新基準を採用 していない医療機関が不当に高いとはいえません。 4. 毎年、自動車保険料率算定会が政府に提出している「自動車保険の概 況平成9年度版」によりますと120万円までの自賠責保険のカバー率 は82%であり、治療費の平均は21万円であります。 被害者の医療費・補償を含めた平均支払い保険金は59万円であり、 120万円の範囲で十分賄われています。 死亡見舞金を含んでも82万円であります。 残り18%は入院したり、手術を受けたりした患者であり、中には初 期の段階で100万円を越えるものもあります。これらの人のため任意 保険があり、これを行使することに何ら躊躇してはならないと思います  しかも自賠責保険の累積黒字は3〜5兆円ともいわれており、識者に 常々問題点として指摘されている現実があります。 5. 健保を使用するのが原則、という論理があります。 交通事故で健保を使用した場合、国民から強制的に徴収した健保財政か ら当然、損保会社あるいは加害者が負担すべき金額が保険者から求償 されなかったり、求償されても過失割合に基づいて、ごく一部しか返却 されていないのをご存知でしょうか。 これも健保財政の赤字の一原因です。 以上の如く、交通事故の自由診療は正当なものであり、”医療機関のもうけ  優先”は片寄った見解です。 戻る