守秘義務
守秘義務

守秘義務  みなさんは削り屋という職業があるのをご存知ですか?  医療機関は月毎にレセプトという請求書を保険組合や支払い 基金に提出します。そのレセプトを見て「この薬は過剰」とか 「この検査には対応する病名がない」とか難癖をつけて薬代や 検査料金を払わないように査定するのが削り屋の仕事です。  日医代議員会で、削り屋の守秘義務が怪しいのではないか と話題になっていましたが、実際に事件が起こりました。 ------------------------------------ 病人リスト販売業者を書類送検へ   埼玉県内の業者が住所、氏名、年齢、電話番号と「高血圧」など の病名をセットにした個人情報を「病名つき病人リスト」として 販売していた問題で、埼玉県警は2000年5月19日、この業者を 名誉棄損容疑で近く浦和地検に書類送検する方針を固めた。個人情報 の流出問題を、名誉棄損容疑で立件するのは全国的にも珍しい。  この問題では、厚生省も同業者が配った関東圏の8都県の280人分 のリストを入手するとともに、「診療報酬明細書(レセプト)などの 個人情報が不法に流出している可能性がある」として調査に 乗り出している。  送検されるのは、同県川越市の「全国医療情報センター」の関係者。  調べでは、同センターは昨年10月ごろから、全国の薬局や健康食品 販売会社などに「他では入手不可能な貴重な『病名つき病人リスト』を 開拓、ご提供できるようになりました」「この不況時に、利益を倍増 されたいと願う企業の方、経営危機を脱したと願う企業の方はぜひ、 この機会にご利用頂きたい」などと書いた文書をファクスやダイレクト メールで送り付け、リストに記された人の名誉を著しく傷つけた疑い。  チラシには、「情報料は1件60円、提供地域は東京都及び東京都近県」 と書かれていた。リストは、住所、年齢、電話番号が記された紙と、 病名や病状、症状を一覧表にまとめた別紙から成り、照合すると、 それぞれの患者の住所や年齢と病名が合致する仕組みとなっている。  病名には、「歯痛(長期治療)」や「五十肩」といったものから 「アルツハイマー型痴呆(ちほう)」「パーキンソン病」まで多岐 にわたり、診療科もさまざまで、いずれも同センターとは接点がなく、 治療に当たった医療機関や薬局などは異なっていた。  県警は、提供された個人情報が「個人の名誉を著しく傷つけるもの」 として、リストに掲載された人たちの被害感情を確認するとともに、 同センターの関係者からも事情を聴き、立件できると判断した。  薬や検査を希望されても、それが必要な状態であり、かつそれに対応 した病名がなければ薬や検査を行うことは(保険診療では)できません。  そしてそれは第三者(削り屋)などの目に確実に晒され、しかも内容 が非合法にせよ公にされているのかもしれません。  保険が税金の補助を受けている公的なものである以上、このような 守秘義務の穴はあり得ることです。今回は幸い発覚し立件されました。 しかし、たいした処罰にはならないでしょう。個人の名誉が金額で測 れないからで、このような漏洩によって具体的損害が生じれば起訴 することは可能でしょう。  構造上、保険診療にこのような穴が空いています。  秘密を守るには、保険診療は使えないのでしょうか。 (2000年5月28日)

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