●腰痛
30代女性からの質問に答えた返事です。
(一部改変)
> 20日ほど前に、重いものを持つでもなく
> 突然腰がギクッときました。
> 何とか2日通勤を続けてみたところ、
> 少しも重いものが持てず、椅子に座ることも
> できなくなりました。
急性腰痛治療の基本は、初期の絶対安静です。
何とか無理して、、、というのは、絶対避けたい!
のですが、事情は人さまざまで、休めないことも
そりゃありますけど。
私の師匠の黒川名誉教授は、九州大学整形外科で
予定されていた講演を、羽田空港で急性腰痛に
なったという理由で、ドタキャンしました。
でもそれで九州大学の整形外科の聴衆は納得して
しまったんだから、整形外科医はちょっと変な人種
かもしれません。
> 現在安静時の痛みは治まりましたが、バス1本
> でいける病院でも、帰宅後は痛みが強くなり、
> 微熱が出ます。
> 市立病院でレントゲンをとったところ、
> ”脊椎の4番目と5番目の間が狭くなり、
> その摩擦から骨が変形して棘状になっている”
> とのことで、痛み止めと湿布薬をもらって、
> 自宅安静で2週間がたちました。
もし微熱が続くなら、椎間板の化膿炎、
脊椎カリエスなども除外しないといけません。
レントゲンで原因を推測することは普通ですが
あまりそれに囚われ過ぎても誤診のもとです。
経過を観察し、診察を繰り返していくことに
よって正しい診断にやっと到達できるのです。
また、絶対安静は普通2,3日以内です。
すこし動けるようになってきたら、痛みに注意
しながら動いてもいい。むしろそのほうが治りが
いいことが分かっています。
でも決して無理をしないように。
> 今後の生活については、
> ”痛いときにはなるべく動かない、とはいえ
> そうもいかないだろうから痛み止めをつかって
> しのぐしかない。
> 痛みと上手く付き合う方法を身につけてください。
> 後は、痛くなったらまた来てください。”
> とのことでした。
> 痛みが治まったら体操もいいですよ、と
> 腰痛体操のパンフレットも貰いました。
ほとんどまさにその通りなのですが、
”痛みと上手く付き合う方法を身につけてください”
って具体的にはどうすればいいのよ?って
ことですね。
> 痛み止めをつかってしのぐしかない。
というのは私の意見とはすこし違います。
痛み止めを使わないでなんとかしのぐことを目標に
したらいいです。椎間板や筋肉の痛みには、
それほど痛み止めが効果的とも思えません
(相性はありますが)。
> 具体的に、何に気をつけたものか、どの程度
> 我慢したものか、又、上手い身体の使い方など、
> 日常生活次第で痛みを軽減させる方法を、
> 何より知りたいと思い
> ます。
@筋肉の強化によって背骨にかかる力を分散させる。
筋力強化。
A筋肉の柔軟性を高めることによって、筋肉の能力
を高める。ストレッチ。
腹筋と背筋の強化と柔軟性の訓練が必要ですね。
> ”お医者さんにかかっても、日常生活の指導までは
> なかなかねえ”と言います。
生体力学を考えながら、いくつかのアドバイスは
出来ますが、全ての生活を観察しているわけでは
ないのですから、確かに指導しきれないことは
あります。
昔欧米でBackSchool(腰痛の学校)という啓蒙が
流行ったことがあります。
普通の一般の人に腰痛の起こる訳とか、腰痛を自己
管理できることを目的に何回かのクラスを受講して
もらう、というものでした。
ただ完全に理解できて、そのとおり実行できるかと
いうとそうではない。また「喉元過ぎれば」で、持続
しないので、「効果」対「手間、暇、費用」を
考えると割に合わなかったのでしょうか、今はあまり
聞きませんね。
結局その人の理解力や仕事の内容、時間があるか、など
多くの要素が問題になります。
まさに「人を見て法を説け」で、整形外科医は誰にでも
ただ同じことを言っているのではないのです。
なお稀ですが、意外な原因が見つかることがあります。
これは医師以外では扱うことは無理で、医療類似行為
(接骨、整体、はり、きゅう)に診断を期待しては
いけません(診断は医師以外には禁じられています)。
(2000年10月6日)
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