整形外科の検査(1999年11月10日)
整形外科ではいろんな検査をします。目的は正確な診断をつけて最適な治療をするためです。
どんな検査があるか。まず視診です。医師は患者さんを観察してどこにどんな病気があるか
見当をつけます。顔色から貧血や心不全、胆嚢や肝臓の病気、臭いから糖尿病や、タバコの吸いすぎによる
脱疽、体型から後縦靭帯骨化、禿げ方から筋肉疾患、歩きかたから小脳腫瘍、など実に多くの情報を
仕入れています。一目診ただけで診断がついてしまうことがあります。
このあと問診です。どんな経過か、症状の性質、仕事の具体的内容など、しつこく質問をします。
これは先ほど視診でつけた診断で矛盾しないかチェックしているのです。
次は理学的診察です。首を動かして同じ症状が出ないか、リンパ節が腫れてないか、
血行が十分かを動脈の拍動を触診して評価したりします。打腱器(ハンマー)であちこち叩くのは
脚気かどうかを診てるんじゃなくて、脳、脊髄から末梢神経の働きを検査しているのですよ。
実はここまでで、診断はほとんどついています。この患者さんには手術が必要か、どこをどう
手術すればいいかなど、ほとんど分かってます。でもすぐにはその診断を口にしたりはしません。
動かぬ証拠を押さえなければ正しい診断を付けたとは言えないからです。
単純X線写真は、診断を確定するため、あるいは他の病気の可能性を除外するために撮影します。
でもこれはかなり念のためですから、妊娠の可能性があったりしたら、必ず申し出てください。
単純X線写真は必須の検査ではありません(骨折の場合ですら)。
血液の検査は、腎臓や肝臓などの機能を診たり、白血病やガンなどが本当の原因でないかを
除外するためにぜひとも必要な検査です。治療法を考える上でも重要です。
むしろ単純X線写真よりも大事です。しかし、これとて明らかに転んだため、なんて場合は調べません。
こういう訳で、医師が見て、臭いをかいで、触って、叩いて、動かしてみて
(舐めて味をみることはあまりしません)、そして注意深く話を聞いて、というだけで
ほとんどの診断はついてしまっているのです。
診断装置はあくまでも2の次です。設備が立派でも、医師の頭やセンスが悪くては
話になりません。もちろん、最低限の装置がなければ診断の証拠を押さえられないことはあります。
しかし立派な装置があっても医師の念頭に正しい診断がなければ宝の持ち腐れってこともあります。
医師は科学者ですから、科学的な証拠を探ります。手術や解剖は自分の診断でよかったかを
知り、反省するために有効な方法です。じかに病変を見て触れることができますし、手術の結果
ちゃんと治るかどうかで医師の診断が正しかったかどうかがはっきり分かるからです。
ここが医療行為と接骨などの医療類似行為と全く異なるところです。
(接骨などは手術をしません。レントゲンを撮ることもできません。診断に科学的
根拠がありません。はっきり言ってあてずっぽですね。)
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