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私の美容外科 -- なぜ私が美容外科をやってるのか
整形外科専門医の私がなぜ美容外科をやるのか、疑問にお思いになる方
もおられるでしょう。
美容外科は形成外科の一分野です。形成外科は整形外科から派生した科
です。
20年前、私が東京大学を卒業した年(1979年)に形成外科学教室が
やっと講座として認められました。しかし当時はまだ教室の態を成しておらず、
教授もまだいませんでした。
そして顔面骨骨折など、審美的なセンスを要求される外科は整形外科
もやっていたのです。シートベルトをしないで正面衝突なんて交通事故
で顔面が陥没して鼻も潰れたなんて場合は(都会では大学病院の形成外科で、
すくないスタッフで治療してましたが)地方の基幹病院では整形外科医が、
(可能なら大学の形成外科医の手を借りて)手術するしかなかったのです。
そんなわけで、私の顔面変形の矯正手術の歴史は20年近くになりま
す。ただ、形成外科がやっている手術であって、美容外科ではありません。
顔面の手術が整形外科の正統とは考えられてはいなかったので、おおっぴ
らにはできませんでした。
整形外科における私の専門は体幹の変形で、これを矯正する手術の経験
も20年になります。
整形外科では、骨格から治しますので、皮膚や皮下組織をちょこっと
いじって、まあ見栄えを良くしておく、という発想はありません。体幹の
変形を治すのに、背骨に金属の棒を入れて骨を固めるなんて手術が正統と
考えられたのです。しかし、これらの手術は大手術ですし、変形の矯正と
引き換えに脊柱の機能を損なわざるを得ない場合もありました。
私が大学で研究していたのは、体幹変形を機能を損なうことなく治せないかと
いうものでこれは実現しましたが、10時間はかかる大手術であったことに
変わりはありません。矯正の結果、患者さんは体幹変形が軽くなるので
喜んでくれます。それは外科医にとって最大の喜びです。しかし、
「ちょっと違うな」という印象がつきまといました。整形外科医は骨格の構造
を矯正して、達成感を味わいますが、患者さんは単純X線写真に現れた骨格の
改善よりも、体表変形の改善を喜んでいることが明らかだったからです。
まあ、単純X線写真を撮影しないかぎり骨格変形は明示されませんから、
当然といえば当然です。
診療所で、簡単な審美的な手術を始めてみて、大学病院での
大手術よりもはるかに簡単で安全な手術でも、患者さんの満足度は
大手術に優るとも劣らないということがはっきりしてきました。
豊胸手術など、10時間の開胸手術の前奏曲よりも簡単なわずか
20分か30分のきわめて安全な手術ですが、患者さんは大学病院での
大手術の100倍は喜んでくれます。
側ワンというほぼ若い女の子に特有な病気が専門でしたから
患者さんはほぼ例外なく若い女の子でした。彼女らにとって、夏休みを
犠牲にして得られる体幹変形の矯正よりも、その日に歩いて帰れる
豊胸手術のほうがはるかに満足度が高いということが私を美容外科
に向かわせたきっかけです。